アジカン後藤「あべしね」炎上騒動は何があった?左翼と言われる政治思想の真相

エセタイマーズ アジカン後藤
エセタイマーズ アジカン後藤

人気ロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)のフロントマンである後藤正文さん。彼の過去の「あべしね」と受け取れる発言が、2025年になってもなお波紋を広げ、SNSなどでたびたび話題に上がっています。この騒動はいったい何があり、なぜこれほどまでに長期間注目され続けるのでしょうか。そして、後藤正文さんの政治的なスタンスや「左翼」との関連性についての噂は事実なのでしょうか。

この記事では、以下の点について、情報を網羅的に掘り下げ、徹底的に解説していきます。

  • アジカン後藤正文さんの「あべしね」炎上騒動がなぜ再燃したのか、その理由と経緯。
  • 炎上の発端となった2014年の「さようなら原発全国大集会」で具体的に何があったのか、「あべしね」発言の詳細。
  • 謎の覆面バンド「エセタイマーズ」とは何者で、そのメンバーは誰なのか、活動目的やモデルとなったバンドについて。
  • 後藤正文さんの政治思想が「左翼」と言われるのは本当なのか、過去の発言や活動からの分析。
  • 関連して話題となった漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』での一件についても触れます。

この騒動の全貌と、後藤正文さんの思想的背景を深く理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1. アジカン後藤正文の「あべしね」炎上騒動が再燃?その理由と過去からの経緯を徹底解説

アジカン後藤正文さんの「あべしね」発言騒動は、2014年に起きたものですが、なぜ2025年現在も再燃し、たびたび議論の的となるのでしょうか。その背景には、インターネット上に残る記録、社会的な出来事との関連、そして後藤さん自身のその後の言動が複雑に絡み合っています。このセクションでは、騒動再燃のきっかけと、過去からの詳細な経緯を時系列で追っていきます。

1-1. 2025年に再燃したきっかけ:X.comユーザーのポストが投じた新たな波紋とは?

2025年に入り、X.com(旧Twitter)のあるユーザーのポストが、この問題を再び多くの人々の目に触れさせるきっかけとなりました。そのポストは、「昔大好きだったアジカンがいつの間にか『安倍◯ね』なんて歌うような人になってて普通にダサくてガッカリした。今でも何故か神宮外苑再開発に反対してたりして謎。」という内容でした。この投稿は、過去の出来事を知らなかった若い世代や、記憶が薄れていた層にも改めて騒動を認識させ、拡散されることになりました。

このポストは、単に過去の出来事を指摘するだけでなく、後藤さんの現在の活動(神宮外苑再開発への反対など)と結びつけて論評しており、古くからのファンが抱く複雑な心境や、現在の後藤さんのスタンスへの疑問を呈するものでした。これにより、過去の「あべしね」発言が、現在の後藤さんのイメージや評価にも影響を与え続けている状況が浮き彫りになったと言えるでしょう。

1-2. 騒動の原点:2014年9月23日の「あべしね」発言とは何だったのか?

騒動の直接的な発端は、2014年9月23日に東京都江東区の亀戸中央公園で開催された「川内原発再稼働するな! フクシマを忘れない! 9.23 さようなら原発全国大集会」での出来事です。この日、後藤正文さんは、自身が参加する覆面バンド「エセタイマーズ」としてオープニングライブに出演しました。

このステージで、エセタイマーズはザ・タイマーズの楽曲「タイマーズのテーマ」の替え歌を演奏。その中で「もうだめだろ 安倍政権 もうやめとけ 安倍政権 あべしね」という歌詞を連呼したのです。この「あべしね」という直接的な言葉が、当時の安倍晋三首相(故人)に対するものと受け取られ、大きな衝撃と批判を呼びました。このパフォーマンスの様子は映像にも残され、後にインターネット上で拡散されることになります。

1-3. 後藤正文さんの釈明と当時の反応:なぜ「比喩」という説明では収まらなかったのか?

問題のパフォーマンス後、後藤正文さんはMCで「僕ら詩人でしょ? 比喩です。政治生命こそ死を、という意味で4文字の“あべしね”」と補足説明を行いました。しかし、この「比喩」であるとの説明は、多くの批判的な意見を鎮めるには至りませんでした。「死ね」という言葉の持つ強い攻撃性や、特定の個人名を挙げていたことから、比喩表現としても不適切である、ヘイトスピーチに該当するのではないか、といった意見が噴出しました。

イベント参加者からも、「原発デモなのに個人攻撃は場違い」といった戸惑いの声が上がる一方で、「タイマーズ精神の継承だ」と喝采する声もあり、会場の反応は真っ二つに割れたと報じられています。ネット上でもこの件は大きな炎上騒動となり、後藤さんのスタンスを巡って激しい議論が交わされました。翌2015年には、後藤さんが雑誌『Rolling Stone Japan』のインタビューで「どうやったら早く安倍政権が終わるか考えている」と発言するなど、政治的なスタンスを明確にする姿勢を見せたことも、議論をさらに深める要因となりました。

1-4. 2022年安倍晋三元首相銃撃事件と再炎上:なぜ過去の発言が掘り起こされたのか?

この騒動が大きく再燃する決定的な出来事が、2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相銃撃事件でした。事件発生後、後藤正文さんは自身のTwitter(当時)で「こんなことは許せない。安倍晋三さんの回復を祈ります」と投稿しました。この追悼の意を示す投稿に対し、過去の「あべしね」発言を知る人々から、「どの口が言うのか」「手のひら返しだ」といった厳しい批判が殺到したのです。

2014年のライブ映像が再びインターネット上で急速に拡散され、後藤さんの過去の発言と現在の追悼メッセージとの間に大きな落差があるとして、騒動は新たな段階の炎上を迎えました。後藤さんは同月13日にSNS上で「軽はずみな発言が“何を言ってもいい”というムードを助長したかもしれない」といった趣旨の反省のコメントを発表しましたが、これは後に削除されています。この対応が「公開謝罪ではなく釈明に過ぎない」と受け取られたことも、議論の長期化に繋がったと考えられます。

このように、一度は下火になったかに見えた騒動も、社会的な大きな出来事や本人の言動、そしてインターネットという記録装置の特性によって、繰り返し再燃する複雑な様相を呈しているのです。

2. アジカン後藤正文の「あべしね」炎上騒動は何があった?いつ、どこで、何を言ったのか詳細まとめ

アジカン後藤正文さんの「あべしね」と受け取れる発言による炎上騒動は、多くの人々に衝撃を与え、長期間にわたり議論を呼んでいます。この騒動の核心を理解するためには、具体的に「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」行われたのか、そして「なぜ」それが問題視されたのかを正確に把握することが不可欠です。ここでは、炎上の発端となった出来事の詳細、問題とされた発言内容、そしてそれが引き起こした波紋について、より深く掘り下げていきます。

2-1. いつ?どこで?炎上の発端となった「さようなら原発全国大集会」での出来事の全貌

この騒動が起きたのは、2014年9月23日(火曜日・秋分の日)のことです。場所は、東京都江東区にある亀戸中央公園でした。この日開催されたイベントの正式名称は「川内原発再稼働するな! フクシマを忘れない! 9.23 さようなら原発全国大集会」です。当初は代々木公園が会場として予定されていましたが、デング熱の流行により急遽、亀戸中央公園に変更されたという経緯がありました。

この集会は、福島第一原子力発電所事故以降、高まっていた反原発・脱原発の市民運動の一環として行われたもので、主催者発表によれば約16,000人が参加したとされています。集会では、様々な分野の著名人や市民活動家によるスピーチ、音楽ライブなどが行われました。後藤正文さんは、このイベントの第一ステージ(12:20開始)に、覆面バンド「エセタイマーズ」の一員としてオープニングライブに出演しました。当時の日本は、東日本大震災とそれに続く原発事故から3年半が経過し、エネルギー政策や原発再稼働を巡る国民的議論が活発だった時期にあたります。

以下の表は、イベントの基本情報をまとめたものです。

項目内容
イベント名川内原発再稼働するな! フクシマを忘れない!9.23 さようなら原発全国大集会
日時2014年9月23日(火・秋分の日)
会場東京都・江東区 亀戸中央公園(当初予定の代々木公園から変更)
エセタイマーズ出演時間12:20~(第一ステージ:オープニングライブ)
参加人数(主催者発表)約16,000人

2-2. 何を言った?「あべしね」発言の具体的な内容と後藤正文さんの当時の説明とは?

問題となったのは、エセタイマーズが演奏したザ・タイマーズの楽曲「タイマーズのテーマ」の替え歌部分です。具体的には、原曲の「もうやめたよタイマーズ」という部分を、後藤正文さんが以下のように歌詞を改変して歌唱しました。

「もうだめだろ 安倍政権 もうやめとけ 安倍政権 あべしね」

この「あべしね」というフレーズを、曲中で何度も連呼したとされています。このパフォーマンスの様子を記録した映像は、後にYouTubeなどの動画サイトにアップロードされ、広く拡散されました。

歌唱後、後藤正文さんはMCで以下のように発言し、自身の意図を説明しました。

「僕ら詩人でしょ? 比喩です。政治生命こそ死を、という意味で4文字の“あべしね”。詩人としてね。あべしね。4文字だよ。」

この説明は、直接的な危害を加える意図ではなく、あくまで政治的な生命の終焉を願う「比喩表現」であると主張するものでした。しかし、「死ね」という言葉が持つインパクトの強さや、特定の個人(当時の内閣総理大臣であった安倍晋三氏)に向けられたと解釈できる表現であったため、この釈明は多くの批判を浴びることになりました。

セットリストとしては、以下の楽曲が演奏されたと記録されています。

  • Daydream Believer(ザ・タイマーズ版カバー)
  • タイマーズのテーマ(歌詞改変版)
  • 総理大臣(ザ・タイマーズ) – この曲でも即興的に政権批判の言葉が挿入されたとの観客レポートがあります。

2-3. なぜ炎上?当時の反応とネット上の議論が「表現の自由」と「ヘイト」の境界線を問う形に

「あべしね」発言は、その場にいた参加者や、後に映像を通じてこのパフォーマンスを知った人々の間で、大きな波紋を呼びました。当時の反応は大きく分けて二つありました。

  • 批判的な意見:「原発問題というテーマから逸脱した個人攻撃だ」「言葉遣いが過激すぎる」「ヘイトスピーチではないか」「ミュージシャンが公の場で使うべき表現ではない」といった声が多く上がりました。特に「死ね」という言葉の暴力性に対する嫌悪感が強く示されました。
  • 擁護・理解を示す意見:「ロックの反骨精神の表れだ」「ザ・タイマーズの精神を受け継ぐものだ」「権力に対する風刺であり表現の自由の範疇だ」「比喩表現として理解すべきだ」といった声もありました。忌野清志郎さんが率いたザ・タイマーズが持っていた反体制的な姿勢やユーモアと比較する意見も見られました。

インターネット上では、この件を巡って大規模な炎上が発生し、数年間にわたり議論が継続しました。論点は主に、「表現の自由はどこまで許されるのか」「政治的メッセージと個人攻撃の境界線はどこにあるのか」「アーティストの社会的責任とは何か」といった点に集約されました。後藤正文さんが2015年の雑誌インタビューで「どうやったら早く安倍政権が終わるか考えている」と改めて政権への批判的姿勢を示したことや、2016年にLITERAが報じたSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)との連帯を示唆する発言なども、この議論をさらに活発化させる要因となりました。

この一件は、アーティストによる政治的表現のあり方や、言葉が持つ影響力について、社会に大きな問いを投げかけた事例として記憶されています。

2-4. その後はどうなった?安倍晋三元首相銃撃事件と後藤正文さんの言動、そして終わらない再炎上

2014年の騒動後も、後藤正文さんはエセタイマーズとしての活動や、個人としての政治的発言を続けていました。例えば、2021年8月22日のフジロックフェスティバルでは、エセタイマーズとして出演し、「ネトウヨやめてよ/ガースーもうやめてくれ」といった当時の菅義偉政権を揶揄する替え歌を披露し、再び賛否両論を呼びました。

そして、この問題が最大級の再炎上を見せたのが、2022年7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件発生時です。事件の一報を受け、後藤正文さんは自身のTwitter(当時)に以下のよう投稿しました。

「最悪のニュースに動揺してほとんど動けずにいました。ここに言葉を綴るかどうかについても逡巡しました。こんなことは許せない。安倍晋三さんの回復を祈ります。」

この追悼と回復を願うメッセージに対し、2014年の「あべしね」発言の記憶を持つ人々から、「どの口がそれを言うのか」「過去の発言との整合性が取れない」「手のひら返しだ」といった趣旨の批判が殺到しました。過去のライブ映像や発言がSNSで再び急速に拡散され、後藤さんのアカウントは炎上状態となりました。

この批判を受け、後藤正文さんは2022年7月13日に自身のnote(後に削除)やSNSで、「俺自身の胸に手を当てれば、過去に吐いた言葉の呪力で自分の心が焼かれるのは仕方がないことだと思う。表現の自由は、自由に評価されることを含んでいる」「軽はずみな発言が“何を言ってもいい”というムードを助長したかもしれない」といった内容のコメントを発表しました。しかし、このコメントは一部からは反省の弁と受け取られたものの、明確な謝罪とは見なされず、議論は収束しませんでした。

この一連の経緯は、過去の発言がデジタルタトゥーとして残り続ける現代社会において、公人がいかに自らの言葉に責任を持ち続ける必要があるか、そして社会的な大きな事件が起きた際に過去の言動がどのように再評価(あるいは糾弾)され得るかを示す事例となりました。

2-5. 漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』への飛び火:作中で安倍晋三元首相のモノマネが描かれたとされる件の真相とは?

アジカン後藤正文さんの「あべしね」騒動と直接的な関連はありませんが、後藤さんがモデルの一人とされる人気漫画・アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』においても、安倍晋三元首相に関連する描写があったとして一部で話題になりました。

作中で、主人公の後藤ひとり(通称ぼっちちゃん)がライブ後のMCで緊張のあまりしどろもどろになるシーンがあります。その際のセリフ回しや間の取り方、水を飲む仕草などが、安倍晋三元首相が過去のスピーチで見せた特徴的な様子をネタにしているのではないか、と一部の視聴者や読者の間で指摘されたのです。具体的には、「あっはい!10億かかってる、プレッシャーの中でのライブだったのですが、(ここで一呼吸)スゥーッ皆さんのお陰で良いものになったと思います(水を飲む)」といった描写が該当するとされました。

この描写について、作者や出版社から公式なコメントは出ていないようですが、ネット上では「風刺が効いている」「ただの偶然では?」など様々な意見が交わされました。『ぼっち・ざ・ろっく!』の主人公の名字が「後藤」であることや、バンド活動をテーマにしていることから、アジカンの後藤正文さんを連想するファンも多く、この件が間接的に「あべしね」騒動と結びつけて語られることもありました。ただし、これはあくまで一部の解釈であり、作品の意図とは異なる可能性も十分にあります。この件は、社会的に注目された人物の言動が、創作物の中でどのようにパロディや風刺の対象となり得るか、またそれがどのように受け止められるかという点で興味深い事例と言えるでしょう。

3. 謎の覆面バンド「エセタイマーズ」とは何者?メンバーや活動目的、ザ・タイマーズ(モデル)との関係性を徹底解剖

アジカン後藤正文さんの「あべしね」発言騒動で、その名が広く知られることになった覆面バンド「エセタイマーズ」。彼らは一体何者で、どのような目的で活動しているのでしょうか。そして、彼らが模倣しているとされる伝説のバンド「ザ・タイマーズ」とはどのような関係にあるのでしょうか。このセクションでは、エセタイマーズのメンバー構成、活動の背景、そしてその音楽的・思想的ルーツに迫ります。

3-1. エセタイマーズの正体は誰?豪華メンバー構成とその衝撃的なパフォーマンスの背景に迫る

エセタイマーズは、その名の通り「偽物」を名乗る覆面バンドですが、その正体は日本のロックシーンを代表する錚々たるミュージシャンたちで構成されています。公表されているわけではありませんが、ライブでのパフォーマンスや音楽性から、以下のメンバーであると特定されています。

担当(覆面名非公表)正体(推定)主な所属バンド
Vocal & GtGotch (後藤正文)ASIAN KUNG-FU GENERATION
BaTOSHI-LOWBRAHMAN / OAU
Gt細美武士ELLEGARDEN / the HIATUS / MONOEYES
Dr恒岡章(故人)Hi-STANDARD / CUBISMO GRAFICO FIVE

※ドラムの恒岡章さんは2023年2月14日に逝去されました。エセタイマーズの活動は、恒岡さんがご存命の頃のものです。

後藤正文さん、TOSHI-LOWさん、細美武士さん、そして故・恒岡章さんという、それぞれが日本のロックシーンでカリスマ的な人気と影響力を持つメンバーが集結していること自体が、大きな驚きを持って受け止められました。彼らはライブの際、顔をヘルメットや包帯などで隠して登場し、そのスタイルは彼らが敬愛するザ・タイマーズの出で立ち(KISS風メイクに覆面)を彷彿とさせます。この匿名性と、メンバーの豪華さのギャップが、エセタイマーズのミステリアスな魅力を一層高めています。

3-2. エセタイマーズの活動目的は何だったのか?ザ・タイマーズの精神継承と現代社会への痛烈な反体制メッセージ

エセタイマーズの活動目的は、単なる有名ミュージシャンによるお遊びのコピーバンドというわけではありません。彼らの活動の根底には、故・忌野清志郎さんが率いた伝説の覆面バンド「ザ・タイマーズ」の精神を現代に継承し、現代社会や政治に対する風刺や批判のメッセージを発信するという明確な意図があると考えられます。

後藤正文さんは、エセタイマーズの結成について「ザ・タイマーズの精神を“現代語訳”するため」のプロジェクトであると語っており、「偽物だがリスペクトの証」とも述べています。彼らは、ザ・タイマーズが得意とした痛烈な社会風刺や反権力的な姿勢、そしてユーモアを交えたパフォーマンスを現代の文脈で再現しようと試みています。特に、東日本大震災以降の原発問題や、特定の政権に対する批判的なメッセージを、替え歌や即興のMCを通じて表現することが多いのが特徴です。2014年の「あべしね」発言も、こうした活動の一環として行われたものと解釈できます。

3-3. エセタイマーズと「本家」ザ・タイマーズの関係性は?単なる模倣か、それとも深いリスペクトの表れか

エセタイマーズを理解する上で欠かせないのが、彼らがモデルとし、深くリスペクトする「ザ・タイマーズ」の存在です。ザ・タイマーズは、1988年にRCサクセションの忌野清志郎さん(ZERRY名義)を中心に結成された覆面バンドです。当時、忌野清志郎さんが反核・反原発のメッセージを込めたアルバム『COVERS』の発売を巡って所属レコード会社(東芝EMI)と対立し、発売中止騒動(後に別会社からリリース)が起きたことが結成の直接的なきっかけとなりました。

ザ・タイマーズは、ヘルメットにサングラス、土木作業員風の衣装といった出で立ちで登場し、「FM東京」や「権力」を痛烈に批判する楽曲や、放送禁止用語を多用した過激なパフォーマンスで大きな話題を呼びました。代表曲には「FM東京のテーマ(偽善者)」「土木作業員ブルース」「タイマーズのテーマ」「デイ・ドリーム・ビリーバー(モンキーズのカバーに日本語詞をつけたもの)」などがあります。彼らの活動は短期間でしたが、その反骨精神とユーモアに満ちたスタイルは、日本のロック史において強烈なインパクトを残しました。

エセタイマーズは、このザ・タイマーズの音楽性、パフォーマンススタイル、そして何よりもそのプロテスト精神を色濃く受け継いでいます。「エセ(似非)」という名を冠しているのは、謙遜やパロディ精神の表れであると同時に、オリジナルへの最大限のリスペクトと、その精神を忠実に継承しようとする意志の表明とも言えるでしょう。セットリストもザ・タイマーズのカバー曲が中心で、歌詞を現代の政治状況や社会問題に合わせて即興的に改変するスタイルも共通しています。スタジオ音源や公式映像をほとんどリリースせず、ライブ中心の「現場限定」の活動である点も、ザ・タイマーズの姿勢を踏襲していると言えます。

このように、エセタイマーズは単なる模倣バンドではなく、ザ・タイマーズという偉大な先達の精神を現代に蘇らせ、社会への問題提起を行うという明確な意志を持ったプロジェクトとして捉えることができるでしょう。

4. アジカン後藤正文さんの政治思想は本当に「左翼」なのか?過去の発言や活動からその傾向を多角的に分析

アジカン後藤正文さんは、「あべしね」発言騒動やエセタイマーズでの活動などを通じて、しばしばその政治的なスタンスが注目され、「左翼的である」と評されることがあります。しかし、この「左翼」というレッテルは果たして適切なのでしょうか。このセクションでは、後藤さんのこれまでの具体的な政治的発言や社会活動を振り返りながら、その思想的背景や傾向を多角的に分析し、「左翼」という評価の妥当性について考察します。

4-1. 後藤正文さんのこれまでの主な政治的発言と社会活動の軌跡を辿る

後藤正文さんの政治的・社会的な発言や活動は、特に2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故以降、より顕著になってきました。以下に主なものを時系列で示します。

  • 2011年~:反原発・脱原発活動
    • 東日本大震災後、積極的にチャリティ活動(通称「ゴッサン基金」)を行い、被災地支援を実施。
    • 同年、編集長としてウェブメディア『THE FUTURE TIMES』を創刊。未来について考えることをテーマに、エネルギー問題や社会問題に関する情報発信を開始。脱原発の立場を明確にしています。
  • 2014年9月23日:「さようなら原発全国大集会」出演と「あべしね」発言
    • エセタイマーズとして出演し、当時の安倍政権を批判する替え歌を披露。大きな物議を醸しました。
  • 2015年:雑誌インタビューでの発言
    • 『Rolling Stone Japan』7月号のインタビューで「どうやったら早く安倍政権が終わるかっていうことを考えていますね」「最悪のタイミングで、最悪の人が総理大臣になっていると思います」と発言。
  • 2016年頃~:SEALDsへの共感
    • 安全保障関連法に反対する学生団体SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の活動に対し、「SEALDsとか見ていると、『おじさんたちが黙っててどうするんだ』って、ちょっと恥ずかしくなりますし」と共感のコメントを寄せています。
  • その他
    • 選挙への積極的な投票を呼びかける発言。
    • 新聞や雑誌、自身のSNSなどで、様々な社会問題や政策に対する論評を継続的に行っています。
    • 近年は、直接的な過激な言葉遣いを避ける傾向も見られる一方で、「政治と表現は切り離さない」という基本的なスタンスは維持していると公言しています。

4-2. なぜ「左翼」と見なされるのか?「あべしね」発言以外の言動から考察するその理由

後藤正文さんが「左翼」と見なされる主な理由は、上記のような活動や発言からうかがえるいくつかの傾向に基づいていると考えられます。

  • 政権批判の姿勢:特に安倍政権や自民党政権に対して、一貫して批判的なスタンスを取ってきたことが最大の理由でしょう。「あべしね」発言はその象徴的な例ですが、それ以外にも政策や政治手法に対する厳しい意見を表明してきました。
  • 反原発・脱原発の主張:原発政策に明確に反対し、再生可能エネルギーへの転換を訴える姿勢は、一般的に「左派」の思想と親和性が高いとされます。
  • 社会運動への共感:SEALDsのようなリベラル・革新系の市民運動やデモ活動に理解や共感を示すことも、「左翼的」と見なされる要因の一つです。
  • リベラルな価値観:彼の発言からは、人権、平和、環境保護といったリベラルな価値観を重視する傾向が読み取れます。
  • メディアでの取り上げられ方とネット上の評価:保守系のメディアやネットユーザーからは、彼の言動が「左翼的」「反日的」として批判的に取り上げられることが多く、そうしたイメージが拡散・定着した側面もあります。

ただし、「左翼」という言葉自体が非常に多義的であり、何を指して「左翼」とするかは論者や立場によって大きく異なります。後藤さんの思想を一面的に「左翼」と断定することは、その複雑な背景や個別の問題に対する考え方を見誤る可能性があります。

4-3. 後藤正文さん自身は自身の政治的立ち位置をどう考えているのか?本人の発言から探る

後藤正文さん自身が、自らを明確に「左翼である」と定義した発言は、公には見当たりません。しかし、彼の発言からは、自身の政治的スタンスや社会との関わり方についての考えを垣間見ることができます。

彼は一貫して「音楽と社会は切り離せない」「ミュージシャンも社会の一員として発言すべき」という趣旨の主張を繰り返しています。自身の音楽活動や表現活動を通じて、社会的なメッセージを発信することに積極的です。2015年の「どうやったら早く安倍政権が終わるか考えている」という発言は、当時の彼の強い問題意識を示しています。

また、「あべしね」発言に対する批判や、2022年の安倍元首相銃撃事件後の再炎上を受けてのnoteでのコメント(「俺自身の胸に手を当てれば、過去に吐いた言葉の呪力で自分の心が焼かれるのは仕方がないことだと思う。表現の自由は、自由に評価されることを含んでいる」)などからは、自身の発言の影響力や責任について自覚し、葛藤している様子も伺えます。

彼が目指しているのは、特定のイデオロギーに染まることよりも、より良い社会の実現に向けた問題提起や議論の活性化である可能性が高いと考えられます。その手段として、時には過激と受け取られる表現を用いることもありましたが、近年はより対話的な姿勢や、具体的な政策提言に関心を移しているようにも見受けられます。

4-4. 「左翼」というレッテル:その言葉が持つ意味と後藤正文さんへの評価の多様性を理解する

「左翼」という言葉は、歴史的にも政治的にも様々な文脈で使われ、肯定的な意味合いで用いられることもあれば、否定的なレッテルとして使われることもあります。一般的には、社会変革や平等を重視し、政府の介入による社会福祉の充実や格差是正などを求める立場を指すことが多いですが、その具体的な内容は時代や国によって異なります。

後藤正文さんに対する「左翼」という評価も、一様ではありません。

  • 肯定的な評価:彼の発言や行動を、権力に臆せず社会の不正や矛盾を指摘する勇気あるものと捉え、そのリベラルな思想や行動力を支持する人々もいます。彼らを代弁する存在として期待する声もあります。
  • 批判的な評価:一方で、彼の言動を過激で一方的、あるいは特定のイデオロギーに偏っていると批判する人々もいます。「反日」「売国的」といった強い言葉で非難されることもあります。また、ミュージシャンが政治的発言をすること自体に否定的な意見を持つ人もいます。

重要なのは、「左翼」というレッテルだけで彼の思想や活動の全てを理解したと考えるのではなく、具体的な発言や行動、その背景にある問題意識、そしてそれに対する多様な評価が存在することを認識することです。彼の活動は、賛否両論を含めて、現代社会におけるアーティストと政治・社会との関わり方について考える上での一つの事例と言えるでしょう。

5. まとめ:アジカン後藤正文さん「あべしね」炎上騒動の深層と今後の注目点

本記事では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんにまつわる「あべしね」発言の炎上騒動について、その発端から再燃の経緯、エセタイマーズの正体、そして後藤さんの政治的思想に至るまで、多角的に掘り下げてきました。

この一連の騒動は、単なる個人の失言問題として片付けられるものではなく、現代社会におけるいくつかの重要なテーマを私たちに投げかけています。

  • 表現の自由とその限界:アーティストが社会や政治に対してどこまで踏み込んだ表現をすることが許されるのか。風刺や批判と、ヘイトスピーチや個人攻撃との境界線はどこにあるのか。
  • 言葉の責任と影響力:特にSNS時代において、一度発せられた言葉がどのように拡散し、長期にわたって影響を及ぼし続けるのか。発言者はその影響力と責任をどう自覚すべきか。
  • インターネット社会の特性:過去の言動がデジタルタトゥーとして残り、特定の出来事をきっかけに何度でも掘り起こされ、再評価(あるいは再炎上)される現代のメディア環境。
  • アーティストと社会・政治との関わり方:ミュージシャンや文化人が社会問題や政治に対して積極的に発言することの是非。その発言がファンや社会にどのような影響を与えるのか。

後藤正文さんの「あべしね」発言は、2014年当時の社会状況や、ザ・タイマーズという反骨のロックバンドへのリスペクトといった文脈があったとしても、その表現の直接性や過激さから大きな批判を呼び、長年にわたり議論の対象となっています。2022年の安倍晋三元首相銃撃事件という悲劇的な出来事と関連付けて再び注目されたことは、言葉の持つ重みを改めて考えさせる契機となりました。

エセタイマーズという覆面バンドの活動は、忌野清志郎さんの精神を継承し、現代社会への問題提起を行うという意図があったと考えられますが、その表現方法については賛否が分かれました。

後藤正文さんの政治的思想については、「左翼」という単純なレッテルで語ることは難しく、彼の発言や行動は、反原発、政権批判、リベラルな価値観の擁護といった傾向が見られるものの、彼自身が社会とどう向き合い、表現を通じて何を伝えようとしているのかを多角的に見つめる必要があります。

今後の後藤正文さんの活動において注目されるのは、以下の点でしょう。

  • 過去の過激な表現とどう向き合い、今後の表現活動にどう活かしていく(あるいは変化させていく)のか。
  • 社会や政治への関与を続ける中で、どのようなメッセージを発信し、どのような役割を果たそうとするのか。
  • 彼の音楽や言動が、ファンや社会にどのような影響を与え続けていくのか。

この一件は、私たち一人ひとりが情報とどう向き合い、多様な意見の中で何を信じ、どう判断していくべきかを考える上でも、示唆に富む事例と言えるでしょう。

本記事のポイントまとめ

  • 「あべしね」騒動の発端:2014年9月23日、反原発集会にエセタイマーズとして出演した後藤正文さんが、「タイマーズのテーマ」の替え歌で「あべしね」と連呼したことが原因。
  • 後藤さんの説明:「比喩であり、政治生命の終わりを願った」と説明したが、批判は収まらず炎上。
  • 再燃の経緯:2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件後、後藤さんが追悼コメントを出したことで、過去の発言が掘り起こされ再炎上。
  • エセタイマーズとは:後藤正文さん、TOSHI-LOWさん、細美武士さん、故・恒岡章さんからなる覆面バンド。ザ・タイマーズを模倣し、反体制的なメッセージを発信。
  • 後藤正文さんの政治思想:反原発、政権批判などリベラルな傾向が見られるが、「左翼」と単純に断定するのは困難。社会への問題提起を重視。
  • 関連する出来事:漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』で安倍元首相のモノマネとされる描写が話題になったことも。
  • 騒動が問いかけるもの:表現の自由の限界、言葉の責任、ネット社会の特性、アーティストと社会との関わり方など。
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この記事を書いた人

こんにちは、地元めしが大好きなクオーゼイです。

IT業界の片隅で働きながら、人生の潤いを「食」と「情報」に求めて生きています。

美味しいもののためなら、どこへでも!気になるお店やグルメイベントがあれば、フットワーク軽く駆けつけます。食レポには自信アリ。

そして、もう一つの好物が「情報」。特に、華やかな芸能界の裏側や、ニュースの行間から見えてくる社会の動きには目がありません。生い立ちが理由…というわけではないですが、政治や公務員の世界に関する「ここだけの話」も、色々知っていたりします。(ブログでどこまで書けるかは、試行錯誤中です!)

ここでは、絶品グルメ情報はもちろん、テレビや新聞だけでは分からない芸能・時事ネタの裏側(?)や、IT業界の小ネタなどを、ざっくばらんに語っていきます。

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