
2025年6月13日、VTuber界に激震が走りました。「深層組(しんそうぐみ)」と名乗るVTuberグループの所属メンバーのYouTubeチャンネルが、突如として複数同時に利用停止(BAN)されるという異例の事態が発生したのです。人気メンバーである従井ノラさんを含む計10チャンネル以上が次々と姿を消し、ネット上は「何が起きているんだ」という混乱と憶測で騒然となりました。
一体、彼女たちのチャンネルに何があったのでしょうか。多くのファンが抱く「なぜ一斉にBANされたの?」「深層組ってそもそもどんなグループ?」「過去に何か問題があったの?」といった疑問に答えるため、この記事ではあらゆる情報を網羅し、事件の核心からグループの成り立ち、そして過去の炎上史に至るまで、徹底的に掘り下げていきます。
この記事を読むことで、以下の点が明らかになります。
- 深層組のYouTubeチャンネルが一斉にBANされた事件の詳しい経緯と、その最も有力な理由
- 深層組とは一体どのようなコンセプトを持つVTuberグループなのか、その知られざる正体
- 個性豊かな現役メンバーから、様々な理由で去っていった卒業メンバーまでの一覧
- 世間を震撼させた「AVスプラ事件」や、関連グループ「天獄組」の誹謗中傷騒動など、過去の主要なトラブルの全貌
事件の真相からグループの唯一無二の魅力、そしてその活動が常に内包してきた影の部分まで、深層組のすべてをこの記事で解き明かしていきましょう。
1. 深層組に激震!YouTubeチャンネル一斉BAN(アカウント停止)事件とは?

平穏な日常を切り裂くかのように、深層組の活動の主戦場であるYouTubeが突如として沈黙しました。この一件は、単なる一グループのトラブルに留まらず、YouTubeというプラットフォームの厳格なルールと、そこで活動するクリエイターの危うい関係性を改めて浮き彫りにしました。ここでは、VTuberグループとしては極めて異例と言える「一斉BAN事件」の生々しい経緯と、その背景にある根深い理由について、より深く掘り下げて解説します。
1-1. 2025年6月に起きた異例の事態の経緯
事態が動いたのは2025年6月12日の深夜から13日の未明にかけてのことでした。SNS上では「〇〇(メンバー名)のチャンネルが見れない」「深層組、BAN祭りか?」といったファンの困惑した声が上がり始め、それが悪夢の始まりでした。何の前触れもなく、深層組に所属する複数のメンバーのYouTubeチャンネルが、まるでドミノ倒しのように次々と利用停止状態に陥ったのです。
初期段階で利用不能が確認されたのは、以下のチャンネル群でした。
- DeepWebUnderground(登録者数11万人・グループ創設者)
- 彼女なぉた(同4万人)
- 小城夜みるく(同3万人)
- 甘神すう(同1.7万人)
- わからせ ちょろ(同1.4万人)
- 飛出ぴょこら(同0.8万人)
- 正義なぐる(同0.5万人)
- 絶望です(同0.3万人)
- 深層組 公式チャンネル(同0.5万人)
これだけでも8人のメンバーと公式チャンネル、合計9つ、総計数十万人の登録者を抱えるチャンネル群が瞬時にしてアクセス不能になるという、まさに異常事態でした。さらに、この動きは深層組本体に留まりませんでした。深層組の関連グループとして活動していた男性VTuberグループ「天獄組」のメンバー3名(難波ワン、絶対ショウリ、阿吽)のチャンネルも、時を同じくして全滅していることが判明します。
そして、ファンが一縷の望みを託していた最後の砦も、無情にも崩れ去ります。翌6月14日の朝までには、当時BANを免れていた深層組で最も登録者数の多い看板メンバー、従井ノラ(したがい のら)さんのチャンネル(登録者数16万人超)も停止されてしまったのです。時間差でのBANは、YouTube側の調査が段階的に進み、関連アカウントを特定次第、順次措置を下していった可能性を示唆しています。結果として、グループの中核メンバーのほとんどがYouTube上での表現の場と収益源を同時に失うという、壊滅的な状況に陥りました。
1-2. 表示されたエラーメッセージとBANされた理由の考察
BANされた各チャンネルにアクセスすると、そこにはYouTubeからの冷徹な宣告が、一様に同じ文言で表示されていました。
「第三者による著作権侵害の申し立てを複数回受けているアカウントにリンクされているため、このアカウントを停止しました。」
この一文こそ、今回の前代未聞の一斉BAN事件の真相を解き明かす鍵です。これは、いわゆる「関連チャンネルBAN」「チャンネルアソシエーションBAN」と呼ばれる措置であり、YouTubeのポリシーの中でも特に厳しいものの一つです。
具体的に解説すると、YouTubeは同一の運営者(個人または法人)が管理していると判断した複数のチャンネルを、内部的に「関連アカウント」として紐付けています。この紐付けは、AdSenseアカウントの共有、ログインしているPCやネットワーク環境(IPアドレス)、電話番号認証など、様々な情報からAIによって自動的に行われます。そして、その関連付けられたチャンネル群のうち、どれか一つでも著作権侵害警告(ストライク)を3回受けるなど、アカウント停止に至る重大な規約違反を犯した場合、その運営者自体がプラットフォームから追放されることになります。その結果、違反を犯していない他の健全なチャンネルであっても、「違反者と同一運営である」という理由だけで、問答無用で巻き添えBANされてしまうのです。
今回の深層組のケースも、この「連鎖BAN」が原因であることはほぼ間違いありません。考えられるシナリオとしては、所属メンバーの誰かのチャンネル、あるいは深層組運営が管理する表に出ていない別のチャンネルが、過去に著作権で保護されたコンテンツ(例えば、許諾を得ていないアニメや映画の映像、市販のBGM、他者の動画の無断転載など)を繰り返し使用し、権利者からの通報が累積してアカウント停止に至った、というものです。そのペナルティが、運営を同じくする深層組と天獄組の全チャンネルに及んだと見るのが最も合理的な解釈です。
一体どのチャンネルのどの行為が引き金になったのかは現時点では不明ですが、過去の息根とめるさんの過激な活動や、運営全体のコンプライアンス意識の欠如を指摘する声がネット上では上がっています。
1-3. 深層組運営とメンバーの公式な対応と現在の状況
この未曾有の事態に対し、深層組運営は混乱が広がる中、2025年6月13日の夕方に公式X(旧Twitter)を更新し、正式な声明を発表しました。その対応は迅速でした。
「現在、所属メンバーのYouTubeチャンネルが複数利用停止である事を確認しております。深層組としては再審査請求など必要な対処を顧問弁護士や関係パートナー様とともに進めております。」
「顧問弁護士」という言葉を用いることで、単なる感情的な抗議ではなく、法的な根拠を持って正式な手続きを進めていることを示し、事態の深刻さと運営の本気度をファンに伝えました。これにより、一部のファンは安堵する一方で、状況がそれほどまでに厳しいことを再認識させられました。
メンバーもまた、悲痛な胸の内を自身のSNSで発信しています。最大の被害者ともいえる従井ノラさんは、Xで「16万人以上の方に応援してもらってたYouTubeチャンネルが本日深夜に停止されました。(中略)この活動一本で全力体当たりで生きてきた身としては、正直、足元が崩れるような感覚です…悔しいけど、ここで終わるつもりはありません」と、長年の努力が水の泡となった悔しさを滲ませながらも、活動継続への強い意志を表明しました。この投稿には、多くのファンや他のVTuberから激励のメッセージが寄せられました。
他のメンバーも同様に、ファンへの謝罪とともに、当面の活動の場としてTwitchやツイキャスといった代替プラットフォームへの誘導を呼びかけています。ファンコミュニティもこれに呼応し、「#がんばれ深層組」といった応援ハッシュタグの作成や、メンバーのTwitchチャンネルをフォローする運動が活発化しており、逆境の中での一体感が生まれています。しかし、2025年6月14日現在、チャンネル復旧に関する具体的な進展はなく、ファンは固唾をのんで運営からの続報を待っている状況です。
2. そもそも深層組とはどんなVTuberグループ?その正体に迫る
今回の一斉BAN事件で、良くも悪くもその名が広く知れ渡った「深層組」。しかし、彼女たちは一体何者なのでしょうか。ホロライブやにじさんじといった大手事務所のVTuberたちとは明らかに異なる、独特のカルチャーと魅力を持つ彼女たちの正体に迫ります。その成り立ちやコンセプトを知ることで、なぜ彼女たちが時に炎上を恐れないのか、その理由の一端が見えてくるはずです。
2-1. 「深層Webからの刺客」という独特なコンセプト
深層組は、2018年4月にVTuberのDeepWebUnderground(ディープウェブ・アンダーグラウンド、通称:DWU)さんが「漫画村を燃やします」という衝撃的な宣言と共にデビューしたことから始まります。このDWUさんを創設者とし、2020年9月に正式に屋号「深層組」が決定されました。
グループの根幹をなすコンセプトは、その名の通り「インターネットの検索エンジンではたどり着けない“深層Web”の住人たちが、VTuberとして表の世界で活動する」というものです。王道を歩む大手事務所のVTuberたちを「表層」と位置づけるならば、自分たちはその対極に存在するオルタナティブな「深層」であると定義しています。このため、配信内容も単なるゲーム実況や雑談に留まりません。社会の闇をえぐるようなブラックユーモア、貧困やメンタルヘルスといった重いテーマ、コンプライアンスのギリギリを攻める過激な下ネタなど、他では決して見られない刺激的なコンテンツが深層組の最大の持ち味です。
メンバーの多くは「元風俗嬢」「借金持ち」「宗教2世」「毒親育ち」など、何らかの“ワケあり”な背景を持つキャラクター設定がされており、その設定がリアルな人生経験に裏打ちされていることも少なくありません。この生々しさと、それを笑いに変えるたくましさが、ありきたりなVTuberに飽きたコアなファン層の心を掴み、「アングラ」「アウトロー」なVTuberグループとして唯一無二のポジションを築き上げたのです。
2-2. 個性豊かな深層組の現役メンバー一覧
2025年6月現在、深層組には一癖も二癖もある個性的なメンバーが多数在籍しています。創設者であるDWUさんを「長女」とする仮想の家族「深層家」とその「使用人」というユニークな関係性が特徴です。ここでは主要なメンバーを、その魅力的なキャラクター性が伝わるエピソードと共に紹介します。
名前 (読み) | 肩書・特徴 | デビュー時期など |
---|---|---|
DeepWebUnderground (でぃーぷうぇぶあんだーぐらうんど) | 長女 / グループ創設者 | 2018年4月デビュー。「お嬢様」と呼ばれ、グループの顔として君臨。過激な発言と上品な口調のギャップが魅力。 |
なまほしちゃん | 三女 | 2019年9月デビュー。難病や生活保護といった重い設定とは裏腹に、グループ随一の常識人と評される。メンバーの面接官も務めるなど、裏方的な信頼も厚い。 |
息根とめる (いきねとめる) | 五女 | 2021年4月デビュー。毒親との闘争など壮絶な経歴を持ち、それをバネにした過激な企画で知られる問題児。AVスプラ事件の中心人物。 |
小城夜みるく (おぎやみるく) | 七女 | 2021年12月デビュー。呪いで赤ちゃんの姿になっている15歳。自作のショート動画や3Dモデル制作など、クリエイターとして高い才能を発揮する。 |
従井ノラ (したがいのら) | 見習い執事 | 2022年1月デビュー。深層家に仕える使用人一族。英語が堪能で海外ファンも多い。愛らしい見た目と裏腹に、企画での行動力は抜群。グループ最大の登録者数を誇る大黒柱。 |
刺杉あいす (さしすぎあいす) | 家庭教師 | 2023年3月デビュー。「あいす先生」として親しまれるが、簡単な漢字が読めないなどポンコツな一面も。ホラーゲーム実況での絶叫と真面目な努力家としての一面が人気。 |
数打あたる (かずうちあたる) | 用心棒 | 2023年6月デビュー。クールな低音ボイスが魅力だが、デリカシーのない発言で物議を醸すことも。本人曰く「深層組イチの常識人」。 |
甘神すう (あまがみすう) | ナース | 2023年7月デビュー。元アイドルという経歴を持つ地雷系ファッションの癒し系。しかしその内面は腹黒で、過激な性癖を公言してはばからない。 |
飛出ぴょこら (とんでぴょこら) | シスター | 2023年9月デビュー。宗教2世で300万円の借金を背負っているという壮絶な設定。明るく乗り越えようとする前向きな姿勢が応援されている。 |
社不寶アスティ (しゃふだからあすてぃ) | 第三養子 | 2025年2月に深層組加入。元個人勢。社会不適合者であることを自称し、センシティブな実写コンテンツも投稿するチャレンジャー。 |
絶望です (ぜつぼうです) | 地雷賭博師 | 2025年3月デビュー。名前のインパクトが強いが、主にパチンコ・スロットといったギャンブル系の配信で活動。 |
正義なぐる (まさよしなぐる) | 自称ヒーロー | 2025年4月デビュー。比較的新しいメンバーであり、これからの活躍が期待される。 |
今宵まいる (こよいまいる) | 怪盗 | 2025年5月デビュー。最も新しいメンバーの一人。 |
2-3. 過去に在籍した卒業メンバーたち
深層組の歴史は、出会いと別れの歴史でもあります。様々な才能が集い、そしてそれぞれの道を歩むために去っていきました。ここでは、グループに確かな足跡を残した主要な卒業メンバーを紹介します。彼女たちの卒業理由もまた、深層組というグループの性質を物語っています。
- ぼくをすこらねば: 2021年1月に卒業。深層組の初期メンバー「深層三姉妹」の次女。元々クリエイターとしての才能が高く、その道に専念するためにVTuberを引退。円満な卒業でした。
- 生返るるる: 2022年11月に卒業。一度は卒業したものの、後に個人勢として活動を再開。卒業理由は「VTuberらしい(王道な)活動をしたい」というもので、深層組の特殊な環境との方向性の違いを示唆していました。
- クッコロ・セツ: 2023年3月に卒業。卒業配信では自ら棺桶に入って蓋を閉めるという衝撃的なパフォーマンスを行い、伝説となりました。最後まで深層組らしさを貫いた卒業劇でした。
- 寧々丸: 2024年12月に卒業。元々個人勢として活動していた人気VTuberで、「養子」として深層組に加入。再び個人として自由に活動するために円満に独立しました。
- 彼女なぉた: 2025年4月に卒業。在籍わずか5ヶ月という短さでした。公式理由は「方向性の違い」ですが、本人が卒業直前に給与の未払いをXで示唆したことから、運営との間に金銭的なトラブルがあったのではないかと強く疑われています。
- わからせ ちょろ: 2025年5月に卒業。ファンに愛された人気メンバーでしたが、「確執のある実の家族から、イベントなどで物理的な妨害を受ける懸念があり、安全に活動できない」という、VTuber史上でも類を見ない深刻な理由での卒業でした。彼女の安全を願う声が多く寄せられました。
3. 炎上は日常茶飯事?深層組が過去に起こした主な騒動まとめ

深層組の歴史を語る上で、残念ながら「炎上」は切り離せない要素です。彼女たちの魅力である「過激さ」や「アングラ感」は、時にコンプライアンスの境界線を越え、大きな騒動へと発展してきました。「炎上すらもエンターテインメントに変える」という姿勢は諸刃の剣であり、今回の一斉BANも、そうした危うい道を歩み続けた結果の一つと見ることもできます。ここでは、特に世間を騒がせた主要な事件を時系列で詳しく振り返ります。
3-1. 【2022年】息根とめる「AVスプラ」事件で大炎上、YouTubeアカウント停止へ
深層組、ひいてはVTuber業界の炎上史にその名を刻んだのが、2022年10月に起きた「AVスプラ事件」です。この事件の中心人物となったのは、デビュー当初から過激な言動で知られていたメンバーの息根とめるさんでした。
問題となったのは、彼女が参加した外部VTuber主催の配信企画。その内容は、任天堂の人気ゲーム『スプラトゥーン3』の対戦画面を利用し、敵チームのインクが塗られた部分を映像編集ソフトで透過(クロマキー合成)させ、その背後で再生しているアダルトビデオを意図的に表示させるという、極めて悪質で前代未聞のものでした。
この行為は、複数の規約や法律に抵触する可能性がありました。
- YouTubeの利用規約: 「ヌードと性的なコンテンツに関するポリシー」に明確に違反。
- 任天堂のガイドライン: 「公序良俗に反する利用」「ゲームやキャラクターの価値を著しく損ねる行為」を禁じる項目に違反。
- 日本の法律: 公然の場でわいせつな映像を配信する行為として、「わいせつ物頒布等罪(刑法175条)」に問われる可能性。
この配信はネット上で瞬く間に拡散。「#AVスプラ」というハッシュタグがトレンド入りし、VTuberファン以外も巻き込む大炎上となりました。批判の矛先は企画者だけでなく、参加した息根とめるさんにも向けられました。これを受け、彼女のYouTubeチャンネルはポリシー違反で即座に停止(BAN)されました。
その後の謝罪配信では、反省の意を示すどころか恐竜の着ぐるみを着て登場し、「反省の色が見えない」とさらに火に油を注ぐ結果に。この一件で作り直した新チャンネルも規約違反で即BANされ、彼女は活動の場をTwitchに移さざるを得なくなりました。この事件は、VTuber業界全体のコンプライアンス意識の向上を促すきっかけとなった一方で、深層組の「炎上上等」な体質を世に知らしめる象徴的な出来事となりました。
3-2. 【2024年〜2025年】男性グループ「天獄組」がホロライブ誹謗中傷で大炎上し解散へ
2024年、深層組は新たな試みとして「男版」となる男性VTuberグループ「天獄組(てんごくぐみ)」をデビューさせました。しかし、このグループは成功を収めるどころか、深層組の歴史における最大の汚点ともいえる大炎上を引き起こし、空中分解しました。
デビュー当初から伸び悩んでいた天獄組は、起死回生を狙ったのか、最もやってはいけない禁じ手に手を染めます。2025年1月、リーダー格の難波ワンさんが投稿した動画内で、大手VTuber事務所「ホロライブプロダクション」の所属タレントの実名を複数挙げ、「2025年に薬物所持で捕まる」などといった、全くの事実無根で悪質極まりない誹謗中傷を行ったのです。
これはユーモアやプロレスの範疇を遥かに超えた、単なる名誉毀損行為であり、ホロライブファンを中心にネット上で凄まじい怒りの声が上がりました。動画はすぐに削除されたものの、難波ワンさん本人に謝罪の意思はなく、むしろSNSで開き直るような態度を見せたことで、事態はさらに悪化しました。
この大炎上を受け、親元である深層組運営は、天獄組の公式Xのフォローを解除するという対応を取りました。これは事実上の「関係切り」「トカゲの尻尾切り」と受け止められ、運営の管理責任を放棄したとの批判も浴びました。その後、天獄組は内部崩壊。誹謗中傷に加担していなかったメンバーは風評被害を理由に脱退し、問題を起こしたメンバーも次々と活動を休止。デビューからわずか1年ほどで、グループは跡形もなく消滅しました。この事件は、深層組本体のブランドイメージをも大きく傷つける結果となりました。
3-3. 【2023年〜2025年】相次ぐトラブルとメンバーの卒業劇
上記の大きな事件以外にも、深層組の周辺では常に大小さまざまなトラブルの火種が燻っていました。その一つ一つが、グループが抱える構造的な問題を映し出しています。
- 数打あたる「コミュ障宇宙人」失言騒動 (2023年6月): 新メンバーの数打あたるさんが、デビュー直後の配信で同期のわからせちょろさんに対し、本人不在の場で「コミュ障」「宇宙人」といった失礼な発言をしたとして炎上。VTuberにとって「同期」は特別な存在であるため、その関係性を軽んじるような発言はファンから厳しく批判されました。後に先輩の従井ノラさんの仲裁配信で両者は和解しましたが、デビュー早々の不協和音はグループの不安定さを露呈しました。
- 寧々丸とにじさんじ・叶のデマ被害 (2023年12月): 当時所属していた人気メンバーの寧々丸さんが、にじさんじ所属のトップVTuber・叶さんと偶然にも旅行の時期が重なったというだけで、一部の悪質なアンチやまとめサイトによって「交際を匂わせている」という事実無根のデマを大々的に拡散されました。これにより彼女は激しい誹謗中傷の被害に遭い、VTuberにつきまとうアンチカルチャーの闇を浮き彫りにしました。
- 彼女なぉたの電撃卒業と給与未払い疑惑 (2025年4月): 鳴り物入りで加入した彼女なぉたさんが、わずか5ヶ月でグループを去りました。公式には「活動における認識や方向性の違い」と発表されましたが、本人が卒業直前にXで「給料振り込むって言ってたのに全然振り込まれてない」と運営への金銭的な不満を赤裸々に投稿。これにより、事務所としての基本的な義務である報酬支払いが滞っていたのではないかという疑惑が浮上し、運営の杜撰な管理体制が強く批判されました。
- わからせちょろの卒業と「家族からの物理的妨害」 (2025年5月): ファンから絶大な人気を誇ったわからせちょろさんの卒業理由は、VTuber業界全体に衝撃を与えました。「確執のある実の家族から、イベントやロケなどで物理的な妨害を受ける懸念があり、心身の安全を確保しながら活動を続けることが困難になった」という、あまりにも生々しく深刻なものでした。これは、VTuberが二次元の存在でありながら、その魂である「中の人」は生身の人間であり、現実世界のトラブルと無縁ではいられないという事実を突きつける、悲しい事件でした。
4. まとめ:深層組の一斉BANの真相と今後の活動はどうなる?
この記事では、2025年6月にVTuberグループ「深層組」を襲った前代未聞の一斉BAN事件について、その背景、グループの正体、そして繰り返されてきた炎上の歴史を網羅的に解説してきました。最後に、今回の騒動の核心と今後の展望をまとめます。
- 一斉BANの直接的な真相: YouTubeが表示した「第三者による著作権侵害の申し立てを複数回受けているアカウントにリンクされているため」という通知が全てを物語っています。これは、グループ内のいずれかのアカウントが著作権侵害でペナルティを受けた結果、運営が同じであると見なされた他の全チャンネルまでもが巻き添えで停止される「連鎖BAN」という、極めて重い処分が下されたことを意味します。
- 深層組という存在: 彼女たちは単なるVTuberグループではなく、「深層Web」をコンセプトに、社会のタブーやアングラ文化をエンターテイメントに昇華させる、唯一無二の存在です。その過激さと生々しさが熱狂的なファンを生む一方で、常に炎上のリスクを内包してきました。
- 繰り返された炎上の歴史: 「AVスプラ事件」のような明確な規約違反から、関連グループ「天獄組」による制御不能な暴走、そしてメンバーの卒業を巡る金銭・家族トラブルまで、その活動は常に順風満帆ではありませんでした。今回の一斉BANは、これまでに蓄積された「業」が最悪の形で噴出した結果と見ることもできます。
- 今後の活動の見通し: 運営は「顧問弁護士」を立ててYouTubeへの再審査請求を行っており、チャンネル復旧に向けて全力を挙げている姿勢を見せています。しかし、著作権侵害によるアカウント停止は覆ることが極めて難しく、厳しい道のりが予想されます。メンバーは当面、Twitchなどの代替プラットフォームで活動を継続する意向を強く示しており、ファンもそこでの応援を続けています。
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